人間はほめられると、相手への信頼が大きく高まります。
人間関係って、とても複雑なものです。生きていく上で、常に傍らにあるのに。
感覚で作ってなあなあで済ませる人も多い一方、そんな複雑なものを学ぼうというあなたの姿勢。
ただただ、私は素晴らしいと思います。
職場での人間関係は社会人の永遠の悩みです。
これまで順風満帆な人間関係を築いてきた「デキる社員」でさえ、転勤や転職でその環境が一転してしまうこともあります。
人間関係.....「仲良くする」って、簡単に言いますけど言語化が難しいんですよね。
数字や目に見えるものではないから。
本当に信頼関係を築けているのか、作り笑顔を張り付けた上っ面の関係なのか分からない。
とはいえ、相手は人間であることに変わりなし。ある程度の法則やノウハウは存在します。
さて今回は、新入社員が職場で「良い関係」を作る方法「ほめる」。
これをご紹介しましょう。
うーん、「ほめる」って上司が部下にやることでは?
いえいえ、そんなことはありません。
「自分の良いところ」を発見してもらい、賞賛されると誰でも嬉しいし、信頼してしまうのです。
(私も若手の子に褒められると、普通に嬉しくなってしまいます。ああ、ちょろい。)
なぜ「ほめる」ことが人間関係の向上につながるのか
人は「誰かの有用でありたい」という欲求を持っている為です。
精神分析を著したフロイトは、人間の行動の動機はすべて「性欲」と「名誉欲」の二つであると主張しました。
多少表現は極端と思いますが、今も有用とされている考えです。
さて、あなたは何が欲しいですか?思い浮かべてみてください。
健康、おいしい食事、ぐっすりと眠れる環境、お金、大好きなパートナー。
その中に、「かっこよく活躍したい!」だとか、「周りからすごいって思われたい!」みたいなものは無いでしょうか。
それこそが名誉欲です。
人間の最も深い衝動は、「誰かの有用でありたい」という要求なのです。
誰もが賞賛を欲している。
これを「ほめる」というアクションを通じて相手に与えることで、信頼関係を築くことが出来るのですね。
おいしい食事を作ってくれる人や、自分の心を満たしてくれるパートナーを嫌いになれる人はいません。
ポイント
人は誰しも「誰かの有用でありたい」という要求を持っている
「欲しいものを相手に与える」ことは良い信頼関係の構築につながる
「ほめる」を通じて、相手に「誰かの有用でありたい」という要求を満たす
良い「ほめかた」
人から最大の力を引き出す方法は、感謝と激励だ。上司からの批判ほど、人の熱意を潰すものはない。私は誰も批判しない。人には働く意欲を与えるのが正しい。だから私は、ほめることには積極的だが、荒探しには消極的だ。
USスチール社長:チャールズ・シュワブ
気に入ったことは「心から評価し、惜しみなく賞賛する」
「ほめる」ことの有用性がわかったら、実践してみましょう。
あなたは新入社員。相手は先輩。
さあ、どうしますか。
どんな時に?
「何かを教わっているとき」が最も行いやすいタイミングです。
先輩社員と関わる機会を想定してみましょう。
研修で理論やノウハウを教えて貰っているときや、先輩について同じ仕事を行うとき。
技術系の職種なら、職人さんに手さばきを教わることも多いでしょう。
入社したあなたにとっては知らないことばかりのはずです。
それらを教えるには、業界や業務に対する深い経験と知識、熟練の技が必要なのですから。
一朝一夕に習得できない、貴重なものです。
だからこそ、教える側もその知識や技術には自信や誇りを持っているケースが大半です。
それに対して、心から賛辞を送りましょう。
言葉を飾る必要はありません。
アクション
◆ 何かを教わったときに相手の知識や技術を「ほめる」
アクションのポイント
狙い目は相手の「専門的な知識や見解」、「職人技」
どうやって?
言葉を飾る必要はありません。
「凄いですね!」「どうやれば自分も身につけられますか?」
のような、シンプルな会話を教えて貰った時にすればOKです。
当然ですが、わざとらしい棒読みや「すごーい」のような適当なリアクションはNGです。
お世辞っぽくならないようには気を付けてください。
オーバーリアクションなんてわざとらしいだけです。
大切なポイントは、「相手の長所を理解し、相手に素直な心で伝えること」です。
アクション
◆ 専門的な知識を教えてもらったり、技術のお手本を見た際に「すごいですね!」
アクションのポイント
素人目線でOK。シンプルに「すごいですね!」
棒読みや適当なリアクションはNG
最も大事なのは、相手の長所を心から尊敬すること
「お世辞」はNG
お世辞....社交辞令とも言います。
その名の通り、メール文面や取引先との挨拶時など、一般的な社交の場において使うことは全く問題ではありません。
ですが、人間関係を築く目的で「お世辞」はNGです。
というか、あまりに多用すると悪化します。
わざとらしい褒め方や、どう見てもロクに自分を理解していなそうな人に言葉を並べられても何も思いませんよね。
むしろ「コイツ機嫌取りたいだけなんだろうなあ」って、不快に思ったこと、ありませんか?
そう、お世辞は今回のコンセプトである「相手に欲しいものを与える」とは真逆の利己的なアクションなのです。
だから、使う場を間違えると不誠実になってしまうのですね。
あなた自身が経験のあるように、お世辞は簡単に見抜かれます。
職場という環境において、長い目で見ればあなたに利益よりも害をもたらすでしょう。
お世辞は忘れ、素直に相手を尊重することが大切です。
稚拙な社交辞令は、差し出すことも受け取ることもなかれ。
英国王:ジョージ5世
アクション
◆ 「ほめる」ときに、お世辞は言わない。
アクションのポイント
「社交の場」での社交辞令はOK。相手を尊重すべき場での社交辞令はNG。
お世辞は簡単に見抜かれる
お世辞は「相手に欲しいものを与える」とは真逆の利己的な行為
まとめ
ほめる。
誰もが日常的に行えるシンプルなアクションです。
しかし、適切に行えば人間の根底に根差す欲求を満たすことが出来ます。
自身が望むものを与えてくれる人に対して、信頼関係はより強固に結ばれます。
うまく「ほめる」スキルを身につけることで、新入社員時代も、将来あなたが部下を持っても良き人間関係を築けるでしょう。
ですが、くれぐれも「お世辞」との混同はなさらぬよう。
相手を尊重することを第一に。
あなたが職場でよき人間関係を、築けますように。
アイディア
先輩の知識や技術を「ほめる」
「ほめる」を通じて、人間の「誰かにとって有用でありたい」という要求を満たす
「ほめる」際には、相手を素直に尊重し、心から賛辞の言葉を贈る
「お世辞」は言わない
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